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エネルギー散逸系非線形偏微分方程式に対する並列化した構造保存解法の試み

担当:都筑 大樹

題目:エネルギー散逸系非線形偏微分方程式に対する並列化した構造保存解法の試み

概要:
構造保存解法は微分方程式の有する構造を離散化することで考えている系の特徴を保存した解を安定的に計算する手法である。例えば、構造保存解法のひとつである Discrete Variational Derivative Method (DVDM) [1] では、エネルギーが散逸するような系に対して方程式の持つ変分構造を離散化して得られるスキームによってエネルギーが散逸する数値解を発散させずに安定して計算している。

DVDMは、汎用的な手法では解が発散してしまうCahn-Hilliard方程式を安定的に数値解析できる優れた手法があるものの、計算時間が長いという欠点がある。本発表では並列性の高いHybridized Discontinuous Galerkin (HDG) 法 [2] を応用することで、エネルギー散逸系のDVDMスキームが並列計算可能であることを示す。
これによりDVDMの長所を残しつつ、短所を改善することを目指す。

参考文献:
[1] D. Furihata, T. Matsuo, Discrete Variational Derivative Method: A Structure-Preserving
Numerical Method for Partial Differential Equations, Chapman & Hall/CRC, Boca Raton,
2011.

[2] B. Cockburn, J. Gopalakrishnan, and R. Lazarov. Uni ed hybridization of discontinuous galerkin, mixed,
and continuous galerkin methods for second order elliptic problems. SIAM Journal on Numerical Analysis,
47(2):1319{1365, 2009.