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幾何的マルチグリッド法の性能評価モデルの提案(文献紹介)

担当:藤田 敬文
題目:幾何的マルチグリッド法の性能評価モデルの提案(文献紹介)

概要:
 幾何的マルチグリッド法のアルゴリズムを実装する場合,メモリの読み書きに対して浮動点演算の割合(Arithmetic Intensity)は一般的に小さい.現在の計算機はメモリ帯域が計算性能に対して低いためArithmetric Intensityが小さい演算プロセスではピーク性能の数パーセントしか出せない場合がある.しかし,規則正しいデータ構造を有するStencil Applicationにおいては,最新のコンパイラ技術を使えば,タイリングによってメモリアクセス効率を高め,Arithmetic Intensityを大きくすることができる.
 本研究では,ポアソン方程式をV-Cycleによるマルチグリッド法によって解く場合を想定し,タイリングを施した場合の新たな性能評価モデル(Performance Model)を提案する.この性能評価モデルによって,Roofline Modelに基づくArithmetric Intencityと収束率との関係を用いて収束までの時間を予測した.V-Cycleにおける反復回数を大きくすると,演算量は増えるもののデータの再利用効率は改善する.更に二次元と三次元の問題に対して2種類の計算機で実験し,提案する性能評価モデルによる予測と実測値を比較している.

参考文献:
[1] P. Ghysels and W. Vanroose. MODELING THE PERFORMANCE OF GEOMETRIC MULTIGRID STENCILS ON MULTICORE COMPUTER ARCHITECTURES. SIAM J. Sci. Comput., 37(2), C194-C216, 2015