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陽的ルンゲ・クッタ法をもとにしたエネルギー保存解法の提案(研究紹介)

小島 広樹
2014/12/3 (水), 15:00-17:00
東京大学 工学部6号館 235号室

 従前よりハミルトン系に対して,エネルギー保存解法が提案されてきた[1,2].しかしながら,これらの手法は安定で定性的な挙動は正しいものの,計算コストが高い.具体的には,微分方程式の次元をNとすると,毎ステップ,N次元の非線形方程式の求解を要する.したがって,高精度化を図る際や偏微分方程式を解く際に計算量が膨大になり得る.
 そこで本発表では,陽的ルンゲ・クッタ法を摂動選点法[3]として解釈し,EQUIP法[4]のアイディアを用いることで,微分方程式の次元Nによらず,毎ステップ1次元の非線形方程式を解くだけで済む高精度エネルギー保存解法を提案する.数値実験をもとに提案手法の有効性を議論する.特に実験では,[5]で提案された手法との比較検討も行う.
 また,時間があれば散逸系に対し,提案手法を適用する方法についても発表する.

参考文献
[1] O. Gonzalez, Time integration and discrete Hamiltonian systems, J. Nonlinear Sci. 6(1996), pp. 449–467.
[2] G. R. W. Quispel and D. I. McLaren, A new class of energy-preserving numerical integration methods, J. Phys. A, 41 (2008) 045206 (7pp).
[3] S.P. NØrsett and G. Wanner, Perturbed collocation and Runge-Kutta methods, Numer. Math., 38(1981), pp. 193–208.
[4] L. Brugnano, F. Iavernano, and D. Trigiante, Energy- and quadratic invariant—preserving integrators based upon Gauss collocation formulae, SIAM J. Numer. Anal., 50(2012), 6, pp. 2897—2916.
[5] M. Calvo, D. Hernandez-Abreu, J. I. Montijano, and L. Rández, On the preservation of invariants by explicit Runge—Kutta methods, SIAM J. Sci. Comput., 28(2006), pp. 868—885.