詳細つりあい条件を満たさないマルコフ連鎖モンテカルロ法(文献紹介)

三村 崇晃
2014/7/9 (水), 13:00-15:00
東京大学 工学部6号館 238号室

 マルコフ連鎖モンテカルロ法は多次元・多自由度系でサンプリングを行う一般的な統計手法として知られている.Metropolis法や熱浴法等の代表的な手法をはじめ多くの手法では詳細つりあい条件という強い制約を課してマルコフ連鎖を構成するが,このような強い制約は必ずしも必要ではなく,実用上,早い時間で目的となる分布へ収束する構成法が望ましい.
 本発表では詳細つりあい条件をみたさない構成法として,Suwa-Todo のアルゴリズム[1][2]を紹介する.スピン模型での数値計算を例にとり,収束の速さを含めて従来の方法と比較検討する.

参考文献
[1] H. Suwa, S. Todo, Markov Chain Monte Carlo Method without Detailed Balance. Phys. Rev. Lett. 105, 120603 (2010).
[2] S. Todo, H. Suwa, General Construction of Irreversible Kernel in Markov Chain Monte Carlo, arXiv:1207.0258 (2012).