担当 : 石川 一征
題目 : 有向グラフの変換と表現
概要 :
グラフの表現を調べるために有用な道具や定理を説明し、それを利用して複数の有向グラフで与えられる正ルートに対する直既約表現を実際に求めていき、結果として現れる直既約表現(直和分解できない表現を直既約表現といい、グラフの表現論における最も基本的な表現である。)と正ルートの関係についての確認を目的とする。
一つの有向グラフΓといってもその表現は複数ある(本質的に同じだけれど表現の仕方はいくらかある)。 特にADE型のグラフの場合には、ガブリエルの定理を用いてその複数ある表現を全て求める事ができる。 ガブリエルの定理によればその直既約表現は1つの正ルートから1対1に対応しており、さらにグラフがADE型であればその直既約表現の個数は有限である。その正ルートに対応した直既約表現を求めていくのを実際に計算する為に必要となる知識や直既約表現の構成方法を前半に説明し、後半は実際にそれを使って直既約表現を求めていく具体例を行い、正ルートとの対応の仕方について調べる。
その後にガブリエルの定理と関係あるADE型グラフ以外ではどうなるかについても同じ計算を行う。一つの例について行った結果、正ルートによっては求められない表現と求められる表現に分かれる結果になり、求められる時はADE型と同様の関係が成り立っている事が確認できた。
参考文献
[1]草場公邦 「行列持論」67-155
[2]丸田悠人「グラフと表現」2013年度卒業論文
[3] I. N. Bernstein, I. M. Gelfand, V.A. Ponomarev,
Coxeter functors, and Gabriel’s theorem,
Uspehi Mat. Nauk 28 (1973), no. 2(170), 19–33.
[4] P. Gabriel,
Unzerlegbare Darstellungen. I,
Manuscripta Math. 6 (1972), 71–103
[5] P. Etingof, O. Golberg, S. Hensel, T. Liu, A. Schwendner, D. Vaintrob,
E. Yudovina,
Introduction to representation theory,
American Mathematical Society, Providence, RI, 2011.